イ・ホンギ「やんちゃな僕そのまんま」6thアルバムツアーを控えたFTISLANDのフロントマン、映画のはじめの一歩

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※過去のインタビュー記事をウェブで公開しています

 作詞、作曲はもちろんのこと、ドラムにギターにベース……どんな楽器でも奏でることができるトップスターのチュンイ。才能の塊とは彼のための言葉なのか。そんなチュンイになりきるため、ホンギ自身もすべての楽器に挑んだという。

「アップのシーンはほかの先生がやってくれたんですが、全身が映るシーンはすべて僕がやりました。大変だったんですよ~。あ、でもドラムは全部僕がやりました!」

と誇らしげ。たしかに「美男〈イケメン〉ですね」でドラムを経験済みではあるが、相当な練習をしなければスクリーンにたえうる演奏はできなかったはず。しかも、FTISLANDとしての活動はもちろんのこと、当時は韓国の音楽番組「Mcountdown」の司会も務め、睡眠もろくにとれないなかでの練習と撮影……。そうしてできあがったシーンからは、中途半端な演奏は聴かせたくないというプロミュージシャンとしてのプライドと、リアルにこだわる俳優としてのプライド、その両方が感じられる。

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 せっかくなので、演奏シーンについてFTISLANDメンバーとのエピソードを聞いてみると

「なーんにもなかったなぁ! あ、でもギターを弾くシーンはスンヒョンくんが助けてくれましたね。ギターを教えてくれと頼んでいて、部屋で教えてもらいました。でもスンヒョンくんだけでしたね! ほかのメンバーは何していたっけ!? 遊んでいたんだっけ?」

と笑う。映画出演という点では先輩となるジョンフンからのアドバイスについて聞いても

「ジョンフンから!? なーーんもなかったですよ!! なーんもないです」

とあきれた口調。

「それよりも僕のファンに感謝しますね。現場にいろんな食べ物とかをスタッフ全員分用意してくれて、何日も。それが本当にうれしくって。本当にメンバーからは何もなかったです。僕が打ち上げのときにメンバーを呼んであげたんです。映画チームのみんなと仲良くなれって。僕がメンバーを助けてあげたんですね!」

と胸を張る。そういえば、ソウルでのファンミーティングでも

「5人、仲はいいけれど、ひとりでいると集中できる。みんながいるとうるさいんですよ!」

とぼやいていた。そうやってメンバーをネタにする一方で、アメリカでの音楽活動という個人の名声よりも、仲間との絆を選んだチュンイの姿について聞くと一転、

「僕の場合、FTISLANDを捨ててひとりで行くのかっていうことですよね、僕もやっぱり残りますね。無理です、ひとりでは。うん、無理ですね。裏切るのは無理です」

と真面目な顔で答え、そこには確固たる絆があることを示した。

* * *

 この世に誰かを残していく者と、誰かに残される者、その両方にスポットを当てたこの作品。それだけを聞くと、悲しみにあふれた物語を想像してしまうかもしれない。しかし、これはただの悲しい物語ではない。ホンギの言葉を借りるならば「ヒューマンコメディで面白いけれど悲しい物語」なのだ。
 物語の底に流れる悲しみは消えないけれど、随所にユーモアがちりばめられていて、コミカルな演技にはつい微笑んでしまう。また、出てくる患者全員が明るく前向きなのも観ていて気持ちがいい。そして忘れてはいけないのは、劇中に流れるホンギの歌声。彼のやわらかな声には、台本を読んで彼が感じたという「温かみ」があふれていて、観る者をやさしく包んでくれる。

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Text by Suzuki Shoko
Photograph by Kobayashi Shuji(Kind inc)
HOT CHILI PAPER Vol.75(2013 JUNE)より

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